1747,池上線のこと

明日は弥生三月、早いものだと思う。
暮れに買い求めた鉢植えの梅が満開に花を咲かせ、春を演出してくれる。


西尾三重子の歌を思い出す。
 
古い電車のドアのそば、
二人は黙って立っていた
話す言葉を探しながら
隙間風に震えて幾つの駅を過ぎたのか忘れてあなたに聞いたのに
じっと私を見つめながらごめんねなんて言ったわ
泣いてはダメだと胸に聞かせて白いハンカチを握りしめたの
池上線が走る町に
あなたは二度と来ないのね
池上線に揺られながら今日も帰る私なの

終電時刻を確かめてあなたは私と駅を出た
過度のフルーツショップだけが
明かりをともす夜更けに
商店街を通り抜け踏切渡った時だわね
待っていますとつぶやいたら
突然抱いてくれたわあとからあとら涙溢れて
後ろ姿さえ見えなかったの
池上線が走る町にあなたは二度と来ないのね
池上線に揺られながら
今日も帰る私なの・・・

コロナ禍だったせいもあり、しばらく行っていない町がある。
池上もそんな街の一つだったのかも知れない。
村田商店の寒天も永く会っていない気がする。

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